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【過去の暴落事例】1970年代に起きた米国株の暴落!ニフティ•フィフティ相場で何があったのか

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ここのところ米国株市場が不穏な動きを見せていますね。

そんな米国株市場ですが暴落のあったニフティフィフティの相場に似ているというのを耳にしました。

調べてみると確かに共通点が多い気がします。

そこで今回はニフティフィフティってなんぞや、一体なにがあったのか調べてみました。

トラの子の退職金を守るためにも勉強していきたいと思います。

目次

ニフティ•フィフティの暴落とは、当時の人気優良株で起きた暴落

1973年から1974年にかけて起きた有名な株式市場の暴落の一つです

この時、ニフティ•フィフティと呼ばれていた一握りの優良成長株が大きく下落しました。

それまで人気化していた銘柄群でしたが、割高でも買われ続けていたのが原因の一つでした。

インフレに対するFRBの利上げ示唆から崩壊が始まりました。

ニフティ•フィフティの意味

ニフティ•フィフティ(nifty fifty)とは1970年初めの上昇相場を牽引した一握りの成長株を指して使われていた名称です。公式なものではありません。

ニフティ(nifty)とは粋な•人気な、フィフティ(fifty)50銘柄という意味があります。

具体的には、

ポラロイド、ゼロックス、ジョンソン&ジョンソン、マクドナルドなど当時の新しい製品や優れたサービスを提供する会社が多く含まれていました。

現在で例えるなら、

グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトやテスラ、ネットフリックスといった高成長で将来にわたり必要とされるであろう先端の企業が近いイメージです。

ニフティ•フィフティの50銘柄リストをまとめられているサイトがありましたのでリンクを貼っておきます

参照サイト: 海外投資データバンク 世界投資の情報ポータルサイト

http://www.world401.com/data_yougo/nifty50.html

ニフティ•フィフティの人気化から暴落するまで

ニフティ•フィフティの人気化

【1960年代•黄金時代】

1960年代の米国株式は黄金時代でした。『飛翔する60年代』

経済成長をうけた上昇相場で新規の投資家が多く相場に参加しました。

投資は盛り上がっていた時代です。

一方でいくつかのバブルと崩壊も経験しています。

  • 60年代初めのIPOブーム、成長株への投資ブームと崩壊
  • 60年代半ばからの合併による株価吊り上げを狙うコングロブームと崩壊
  • 60年代後半の短期的な回転売買で利益を上げた短期利益狙いのファンドブーム。
  • 中身のない成長ストーリー•コンセプトへの過度な投資でやがて崩壊。

そうした苦い経験もしていく中で、安全でしっかりした成長が期待できる企業への投資の機運が高まっていきました。

ねむりトラ
ねむりトラ

60年代には成長ストーリーだけで投資が集中することも。やがてそれも崩壊していく経験をします。

ねむネコ
ねむネコ

この頃はパフォーマンスの高い成長株が注目されるようになってきた時代だね。

【1970年代初頭•ニフティフィフティ銘柄への注目】

高成長で将来にわたり成長が期待できる新しい商品や素晴らしいサービスを提供するしっかりした優良企業が注目されていきます。

そうした中でニフティ•フィフティと呼ばれる一部の成長優良銘柄がブームとなり投資が集中しました。

この時の株式市場全体の特徴として次のようなことがありました。

①一部の成長株だけが高値で取引され市場全体を押し上げている状態

②一部の成長株だけが高くて、それ以外は低迷している二極化状態

ねむネコ
ねむネコ

それまでの失敗もあり間違いのない優良銘柄であること、かつ成長銘柄が過度に注目されていました。

【当時の投資家の態度】

ニフティ•フィフティの株価は過度な期待からとても妥当と思えないような行き過ぎた水準まで上昇しました。

この時の投資家の態度を表すものとして”one decision stock “というのがあります。

これは“買うだけで売る必要のない株”といった意味合いです。

『優良な企業なのでどのみち上がるに決まっている!とにかく買ってもってるだけでOKだ!』

といった強気な態度でした。

機関投資家にとっても優良銘柄に投資することは、顧客への説明責任の面でも問題なく投資できました。

そのため、機関投資家の資金も集中する一因になりました。

一方で評価の妥当性の判断ができていたかは疑問です。

ねむりトラ
ねむりトラ

個人にも機関投資家にも人気だったんだね

FNCBは、長期的な利益成長見通しが特にすぐれた企業を選別する「ニフティ•フィフティ投資」と呼ばれるアプローチを採用していた。投資マネジャーたちは、成長性以外に「質」、つまり「高い成長見通しが実現する可能性の高さ」も重視していた。そして、高い成長性と十分な質を兼ね備えた銘柄なら、価格はどうでも構わないというのが公式見解となっていた。現時点の尺度で見て割高でも、数年経てばその株価に見合った企業に成長する、という考え方だったのだ。

『投資で一番大切な20の教え』ハワード•マークス

※FNCB ー ファースト•ナショナル•シティ•バンクのこと。現在のシティバンク。

【ニフティ•フィフティのPER】

株価の妥当性を測る尺度の一つにPERがあります。

  • 1972年の米国主要株500銘柄を総合する指数のS&P500指数は18.9倍でした。
  • 1972年のニフティ•フィフティの平均PERは41.9倍でした。

ニフティ•フィフティのPERは市場平均の倍以上、ニフティ•フィフティ銘柄以外と比べ何倍も高いPERで取引されていました。

ちなみに、ニフティ•フィフティ以外の銘柄の平均PERは約11倍でした。

ねむトラ 
ねむトラ 

今で言うと、GAFAMのような新しくて高成長、大型の成長株が人気になったんだね

PERとは

PERとは単純にして説明すると、今の株価が一年で稼ぐ利益の何倍かを表しています。何年でもとがとれる株価水準かなど読み取れます。株価の割高割安の一つの目安です。

例)PER10倍(株価100円、一年の利益10円)→ 10年で株価と同じ利益が上がる(10円×10年=100円 株価と同じ)

基本を勉強しよう!【PERの基礎知識】〜あっ、これってそんなに高かったんですね〜

ニフティ•フィフティの暴落

【1972年•暴落前最後の上げ相場】

当時のFRB議長アーサーバーンズはニクソンの2期目の大統領選挙を前にして金融緩和政策をとっていました。

やがて好景気を背景に物価も上がり始めました。

1972年11月7日ニクソン大統領の再選を市場は好感、株価は上昇を見せました。

【1973年•ニフティフィフティの暴落】

FRBはインフレ抑制のための利上げを示唆します。

金利と株価はいわばライバル関係にあります。

ライバルである金利が上がると株価はより厳しい評価を投資家から受けます。

FRBの利上げシグナルを受け、実際の利上げを前に崩壊がはじまりました。

ニフティ•フィフティ銘柄はもともと高すぎる評価がされていたため、その影響が大きく出ました。

いざ評価が見直されると大きく株価は調整しました。

さらにニフティ•フィフティ銘柄の中に悪い決算を出す銘柄がでてくると次々と株価は下落していきました。

1973年から1974年の間続いた弱気相場では多くの銘柄が売られ、株価が1/3になる銘柄も多くでました。

ねこトラ
ねこトラ

ベトナム戦争、原油危機、穀物不足、為替制度の変更といったインフレ要因になるような出来事がこの頃にはあったよ。ウクライナ紛争、原油、穀物のインフレなど今の状況に似ているね。

【1974年•続く弱気相場】

1973年から1974年の弱気相場で多くの銘柄が暴落しました。

S&P500は、1972年の高値から1974年の安値まででは約52%の下落でした。

1973年末の前年比−17.3% の下落

1974年末の前年比−31.3% の下落でした。

2年の間、弱気相場が続きました。

この時、ニフティ•フィフティ銘柄の多くは1/3の株価まで下落。小型の成長株では95%下げる銘柄もありました。

ニフティ•フィフティ1972年PER上位10銘柄

主な事業銘柄1972年PER備考
インスタントカメラポラロイド95.001年倒産
医薬品、医療機器バクスター71.4
娯楽ウォルトディズニー71.2
ファーストフードマクドナルド71.0
化粧品レブロン69.1
モーゲッジ補償保険MGICインベストメント68.5
化粧品エイボンプロダクツ61.2
生活品ジョンソン&ジョンソン57.1
コンピュータデジタルイクイップメント56.2買収、合併で
現在のHP
空輸エメリーエアーフライト55.301年運行停止

【ニフティ•フィフティ銘柄の高値と安値抜粋】

銘柄高値安値次回高値更新日
バクスター73年1月10日74年9月30日81年10月20日
【下落率60%】3.94$1.58$(8年9ヶ月ぶり)
ウォルトディズニー73年1月2日74年12月17日86年1月14日
【下落率85%】2.54$0.36$(13年ぶり)
マクドナルド72年12月27日74年10月4日82年8月20日
【下落率72%】1.90$0.52$(9年8ヶ月ぶり)
J&J72年11月1日77年5月11日82年8月23日
【下落率52%】2.75$1.31$(9年9ヶ月ぶり)

その後の株価動向

s&p500がつけた1973年1月11日の高値120.24に株価が戻したのは1980年でした。7年の時間がかかりました

暴落後、短期ではパフォーマンスが悪かったニフティ•フィフティの銘柄でしたが、その後も低調なパフォーマンスが続きます。

1970年代を『株式の死』とも表現されることもあります。

1970年代の米国はしつこいインフレに苦しめられます。

1980年代の初め、FRB議長をポールボルカーが務めた時代にはFFレートの金利がなんと19.1%まで引き上げられました。

インフレがやっと収まり株価が上昇基調へと変わっていったのはその後でした。

s&p500とニフティ•フィフティ銘柄のパフォーマンスを長期で比較すると、意外なことに差はあまり出ませんでした。

ニフティ•フィフティ銘柄を保有し続けた場合、s&p500と比べ20年後の1993年で1%、30年後の2003年で0.5%パフォーマンスが低かっただけのところまで挽回しました。

ニフティ・フィフティ相場のチャート

【S&P500/インフレ率/政策金利】

▫️S&P500指数

73年初めにピークをつけた後74年10月まで約2年間下げ、1980年になって前回高値まで戻しました。

ニフティ•フィフティ相場では金利上昇とともに株価が下落しているのがわかります。

ニフティ•フィフティ時期のsp500チャート
trading view 提供チャート

▫️インフレ率ーUnited States Inflation Rate ,YoY

72年の中頃からインフレ率が上昇しています。米国は1970年代を通して高いインフレ率に苦しみました。

1979年にボルカーがFRB議長に就任、強烈なインフレ対策を実行してやっとインフレは落ち着きはじめました。

ニフティフィフティ時代のインフレ率チャート
trading view 提供チャート

▫️政策金利動向ーinterest rates,discount rate for united states

1973年初めから政策金利は上昇。その後インフレ抑制のため、インフレを追う形で政策金利も上昇しています。

ニフティ•フィフティの下落時期に金利が上昇しているのが見てとれます。(当時はフェデラルファンズレートではなくディスカウントレートが政策金利でした。)

1970年代の米国ディスカウントレイトのチャート
trading view 提供チャート

【ニフティ・フィフティ銘柄チャート抜粋(下段は政策金利を表示)】

▫️バクスター

バクスターの株価とディスカウントレイトのチャート。1970年代。
trading view 提供チャート

▫️ウォルトディズニー

ウォルトディズニーの株価とディスカウントレイトのチャート。1970年代
trading view 提供チャート

▫️マクドナルド

マクドナルドの株価とディスカウントレートのチャート。1970年代。
trading view 提供チャート

▫️ジョンソン&ジョンソン

ジョンソンアンドジョンソンの株価とディスカウントレートのチャート。1970年代。
trading view 提供チャート

【その他 石油株チャート(下段はマクドナルドチャート表示)】

▫️エクソンモービル

1973年初めはニフティ•フィフティ銘柄が下がる中、上昇を続けていましたが金利上昇を受けニフティ•フィフティ同様下落して行きました。

1970年代のエクソンチャート
trading view提供チャート

▫️シェブロン

1970年代シェブロンチャート
trading view 提供チャート

ニフティ•フィフティ相場の特徴

二極化

 一握りの成長株が人気になり投資が集中、一部の銘柄が市場全体を押し上げていました。一方でそれ以外の銘柄の多くは株価が低迷し、割安に放置されたものもありました。

高すぎるPER

 1972年末のニフティ•フィフティの平均PERは42倍、高い銘柄ではPER90倍を超えていました。SP500のPER18.9倍を大きく超えるものでした。これは行き過ぎた評価をされていた事を表しています。

相場の転換点

 それまでの強気相場はインフレ率の上昇、FRBによる金利の引き上げを契機に弱気相場に入っていきました。1973年から1974年の2年間にわたり株価の下落は続きました1970年から1975年までに700万人の投資家が相場を去ったとされています。

現在の相場との共通点

一部の成長株が市場を牽引

米国市場ではグーグル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン、メタ、テスラ、エヌヴィディアといったハイテクなグロース株が7社だけで全米の株式時価総額の20%以上を占めています。(2021年12月末時点)

高いPER

2021年12月31日時点の各社のPERは

銘柄PER
アップル29.41
マイクロソフト35.74
アルファベット25.82
アマゾン51.45
テスラ215.67
メタ24.43
エヌヴィディア168.37

2022年1月1日のS&P500 のPERは26.08倍でした。

過去10年のS&P500の平均PER22.12倍と比べてPERは高く、とりわけ一部のグロース銘柄が高いPERで取引されています。

高いインフレ率とFRBの利上げ

一方でインフレ率はというと7.5%を記録し、3月にはFOMCでの利上げが予想されています。利上げを前に最近IPOした人気銘柄や、グロース株などは大きく値を下げました。

相場環境は似ている

相場が下げたメカニズムを考えると、いままではコロナ禍において新しい技術や将来の成長を期待させるような企業に投資が集中し高いPERでも取引される状態でした。

一方で足下のインフレは記録的な上昇を見せています。3月には利上げも予想されている状況です。

FRBの利上げを前に株価は年初から下げています。

上昇相場を牽引していた金融緩和もいよいよ引き締めに転じます。

こうしてみるとニフティ•フィフティの下落の流れと似ています。

  • 一部の成長銘柄の人気化
  • 高い水準のPER
  • 利上げであらためて見直される株価

ニフティ•フィフティの下落の際は約2年の弱気相場が続きました。

大きく下げたニフティ•フィフティですが、その後のパフォーマンスはしばらく低かったものの20年後、30年後のパフォーマンスをみるとS&P500を少し下回る程度のパフォーマンスまで回復していきました。

ニフティ•フィフティの教訓

ニフティ•フィフティを教訓に気をつけるべきと感じるのは以下のことです。

  • 株価の妥当性(PERなど)を把握せずに投資しないこと
  • 高いPERは環境の変化(利上げなど)で大きく調整する可能性がある
  • 人気化に注意すること。(成長•最先端など)過度に評価されやすい。最初は良いがいずれ崩れる時が来る。

人気銘柄は魅力的に見えますし、そういった銘柄は基本的にPERが高いものです。

ただ投資家の期待が行き過ぎた水準の成長を織り込んだものになっていないかは知って投資した方がいいと思いました。

行き過ぎた評価が何かのきっかけで是正される場合、期待値が大きいほど下落も大きいです。

株価が是正されやすいポイント
  • 金利上昇局面
    特に成長株は金利上昇の影響を受けやすいので注意が必要です。FRBの動向に注意。
  • 期待を下回る決算発表
    企業業績が期待より低いと株価に影響し価格が是正されやすいです。決算発表に注意。また金利上昇時は特に注意。金利上昇は経済にマイナスですので企業業績にも影響します。

まとめ

• 1970年初頭の米国ではニフティ•フィフティのような人気化した一部の優良な成長銘柄が割高に取引されていました。FRBの金利引き上げで株式に対する目が厳しくなったのを契機に相場は下落していきました。

• 今の米国市場も似たような状況がみうけられます。ニフティ•フィフティの時は相場の下落は約2年続きました。• 20年、30年の超長期でみるとパフォーマンスに差はあまりみられませんでした。

株価の妥当性を無視した投資は危険が高いです。

【感想】

というわけで今回はニフティ•フィフティ相場についてまとめてみました。

ニフティ•フィフティの下落相場では多くの投資家が相場を去っていきました。

当時家宝として持っていればいいとされた優良な銘柄でさえ高すぎるPERを維持できず大きく売られる展開になりました。

これってリタイア時期に重なったらと思うと恐ろしいですね。

こういう失敗を減らせるように今後も勉強したことを書いていきたいと思います。

【失敗例の勉強】退職金の運用どうする?投資の失敗例を集めてみた|避けたい投資法30選

1970年代から続くインフレは大問題となっていきました。

そのインフレを抑えたFRB議長はポール•ボルカーでした。

現在、米国ではインフレが高まっています。

そんなインフレ時代のFRB議長ポールボルカーについて勉強してみました。

下記リンク参考までに

【過去のインフレ勉強】ボルカーFRB議長時代の采配インフレ対策を調べてみた

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